ふと鏡を見たとき、あるいは髪をかき上げたときに、「こめかみ部分の髪が薄くなってきた」「生え際が後退している気がする」と感じることはありませんか。こめかみは顔の印象を左右する部分だけに、その脱毛や薄毛は気になるものです。こめかみ部分の脱毛には、いくつかの原因が考えられます。最も一般的な原因として、特に男性の場合に疑われるのが「男性型脱毛症(AGA)」です。AGAは、額の生え際(特にM字部分)や頭頂部から薄毛が進行するのが特徴ですが、その初期段階として、こめかみを含む生え際全体が後退し始めることがあります。これは、男性ホルモン(DHT)の影響を前頭部の毛根が受けやすいためです。次に考えられるのが、「牽引性脱毛症」です。これは、髪を強く引っ張る髪型、例えばきついポニーテールやオールバック、あるいは常に同じ位置でヘアバンドやカチューシャを使用することなどで、こめかみ部分の毛根に物理的な負担がかかり続け、脱毛を引き起こす状態です。女性にも男性にも見られます。また、「円形脱毛症」がこめかみ部分に発症することもあります。自己免疫系の異常などが原因で、突然円形に毛が抜ける病気であり、頭部のどの部分にも起こりえます。さらに、「加齢による変化」も影響します。年齢とともに髪全体のボリュームが減少し、特に生え際周辺の髪が細くなることで、こめかみが薄くなったように感じられることがあります。「頭皮環境の悪化」も間接的な原因となり得ます。乾燥や炎症、皮脂の過剰分泌などが、毛根の健康を損ない、抜け毛を増やす可能性があります。その他、稀に他の皮膚疾患や全身性の病気が関与していることもあります。このように、こめかみ脱毛の原因は様々です。適切な対処のためには、まず自分の症状がどの原因によるものなのかを見極めることが重要になります。
3月14