側頭部の薄毛とともに、かゆみやフケ、赤みといった「頭皮トラブル」の症状が現れている場合、それは頭皮環境が悪化しているサインかもしれません。頭皮の炎症などが原因で、抜け毛が増え、薄毛に繋がっている可能性があります。特に考えられるのが「脂漏性皮膚炎」です。脂漏性皮膚炎は、頭皮の皮脂が過剰に分泌され、それをエサとする常在菌「マラセチア菌」が異常増殖することで引き起こされる皮膚炎です。頭皮に赤みやかゆみ、そして黄色っぽく湿った、やや大きめのフケが現れるのが特徴です。皮脂の分泌が多い、生え際、頭頂部、そして側頭部にも症状が出やすい傾向があります。頭皮に炎症が起こると、毛穴周辺の環境が悪化し、毛根にもダメージが及びます。これにより、髪の成長サイクルが乱れ、抜け毛が増えたり、髪が細くなったりして、結果的に薄毛(脂漏性脱毛症)を引き起こすのです。AGAとは異なり、炎症を伴うことが大きな特徴です。その他にも、シャンプーやヘアケア製品が肌に合わないことによる「接触皮膚炎」や、アトピー性皮膚炎の一部として頭皮に症状が現れることもあります。これらの場合も、かゆみや赤み、湿疹などを伴い、掻きむしることでさらに頭皮を傷つけ、抜け毛を悪化させる可能性があります。また、頭皮の「乾燥」もかゆみやフケの原因となり、バリア機能の低下から炎症を起こしやすくなるため、注意が必要です。側頭部の薄毛に、これらの頭皮トラブルが伴う場合は、まずその原因となっている皮膚炎やトラブルを治療することが最優先です。自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、「皮膚科」を受診しましょう。医師は、頭皮の状態を診察し、原因に応じた適切な治療薬(抗真菌薬、ステロイド外用薬、保湿剤など)を処方してくれます。また、シャンプー選びや洗い方など、日々のヘアケアについてもアドバイスがもらえます。頭皮トラブルを改善し、健やかな頭皮環境を取り戻すことが、側頭部の薄毛改善への第一歩となります。
月別アーカイブ: 10月 2019
内服ミノキシジルとの併用は要注意
ミノキシジルには、外用薬だけでなく「内服薬(飲み薬)」も存在します。日本では薄毛治療目的では未承認ですが、一部のクリニックで自由診療として処方されることがあります。このミノキシジル内服薬とカロナール(アセトアミノフェン)の併用については、外用薬の場合よりもさらに慎重な注意が必要です。ミノキシジル内服薬は、有効成分が直接血中に取り込まれ、全身に作用します。その主な作用は血管拡張であり、元々は高血圧の治療薬(降圧剤)として用いられていました。そのため、内服薬は外用薬に比べて、血圧低下や心臓への負担といった全身性の副作用のリスクがより高いとされています。動悸、息切れ、むくみ、めまい、ふらつきなどが起こる可能性があります。一方、カロナール(アセトアミノフェン)は、一般的には血圧への影響は少ないとされていますが、薬の代謝には肝臓が関与します。ミノキシジルも肝臓で代謝されるため、併用によって肝臓への負担が増加する可能性は理論的には考えられます。また、ミノキシジル内服薬による血圧低下作用がある中で、他の薬剤を併用すること自体、慎重に行うべきです。現在のところ、ミノキシジル内服薬とカロナール(アセトアミノフェン)の間に、重篤な相互作用が頻繁に起こるという報告は多くありません。しかし、ミノキシジル内服薬自体が国内未承認であり、その安全性や他の薬剤との相互作用に関する十分なデータが蓄積されているとは言えません。そのため、もしミノキシジル内服薬を服用している方が、カロナールなどの他の薬剤を使用したい場合は、自己判断での併用は絶対に避け、必ず処方を受けている医師に相談することが不可欠です。医師は、患者さんの健康状態、血圧、肝機能などを考慮し、併用の可否や注意点について判断します。安易な併用は、予期せぬ健康被害につながるリスクがあります。ミノキシジル内服薬の服用自体、そのリスクとベネフィットを十分に理解した上で、医師の厳重な管理下で行われるべき治療であることを忘れてはいけません。