ストレスが髪に与える影響は、血行不良や自律神経の乱れだけではありません。実は、「ホルモンバランス」にも影響を及ぼし、それが薄毛や抜け毛の一因となることがあるのです。特に女性の場合、ホルモンバランスの変化は髪の状態に顕著に現れやすいと言えます。私たちの体は、ストレスを感じると、それに対抗するために副腎から「コルチゾール」などのストレスホルモンを分泌します。一時的なストレスであれば問題ありませんが、慢性的にストレスに晒され、コルチゾールの分泌が高い状態が続くと、体内のホルモンバランス全体に影響が出始めます。まず、過剰なコルチゾールは、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌を抑制してしまう可能性があります。エストロゲンは、髪の成長期を維持し、ハリやコシを与える重要なホルモンです。その分泌が減少すると、ヘアサイクルが乱れて成長期が短縮され、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりする原因となります。特に更年期など、もともとエストロゲンが減少しやすい時期に強いストレスが加わると、薄毛の症状がより顕著になることがあります。また、ストレスは、男性ホルモン(アンドロゲン)とのバランスにも影響を与える可能性があります。女性の体内でも少量分泌されている男性ホルモンは、ストレスなどによってその影響力が相対的に強まると、毛根に作用して髪の軟毛化や抜け毛を引き起こすFAGA(女性男性型脱毛症)の発症や進行に関与すると考えられています。男性の場合も、過剰なストレスがホルモンバランスを乱し、AGA(男性型脱毛症)の進行を早める可能性が指摘されています。ストレスが直接DHT(AGAの原因物質)を増やすというよりは、ストレスによる他の生理的な変化(血行不良など)と相まって、DHTの影響を受けやすい状態を作り出してしまうのかもしれません。このように、ストレスは、女性ホルモンの減少や、男性ホルモンとのバランスの乱れなどを通じて、髪の成長サイクルに悪影響を及ぼし、薄毛を引き起こす可能性があるのです。ストレスを溜め込まず、心身のバランスを整えることが、ホルモンバランスを介した薄毛対策としても重要になります。
3月19