月別アーカイブ: 10月 2023

側頭部が薄い考えられる原因とは

側頭部が薄い考えられる原因とは

「最近、こめかみのあたりや耳の上の髪が薄くなってきた気がする…」側頭部の薄毛は、男性型脱毛症(AGA)の典型的なパターン(生え際の後退や頭頂部の薄毛)とは異なるため、原因が分からず不安に感じる方もいるかもしれません。確かに、AGAでは側頭部は比較的影響を受けにくいとされています。では、側頭部の薄毛にはどのような原因が考えられるのでしょうか。まず疑われる可能性の一つが「円形脱毛症」です。円形脱毛症は、自己免疫疾患などが関与し、突然円形や楕円形に毛が抜ける病気で、側頭部を含む頭部のどの部分にも発症する可能性があります。次に考えられるのが「牽引性脱毛症」です。これは、ポニーテールやきつい編み込みなど、髪を強く引っ張る髪型を長期間続けることで、毛根に物理的な負担がかかり、特に引っ張られる部分(側頭部も含む)の髪が薄くなる状態です。また、「脂漏性皮膚炎」などの頭皮の炎症も原因となり得ます。皮脂の過剰分泌や常在菌の影響で頭皮に炎症が起こると、毛根にダメージが及び、側頭部を含む広範囲で抜け毛が増えることがあります。かゆみやフケを伴うことが多いです。さらに、強い「ストレス」や「生活習慣の乱れ」(睡眠不足、栄養不足など)も、頭皮全体の血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こし、側頭部を含む髪全体のボリュームダウンに繋がる可能性があります。非常に稀ですが、AGAが極度に進行した場合や、他の全身性の病気、薬剤の副作用などが原因となることもあります。このように、側頭部の薄毛の原因は多岐にわたります。AGAではない可能性も十分に考えられるため、自己判断は禁物です。原因によって対処法が全く異なるため、まずは皮膚科などの専門医を受診し、正確な診断を受けることが解決への第一歩となります。

定番治療ミノキシジル外用薬の選択

定番治療ミノキシジル外用薬の選択

女性の薄毛治療において、まず検討されることが多いのが「ミノキシジル外用薬」です。日本国内で、女性の壮年性脱毛症に対する「発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防」の効果が認められている唯一の外用成分であり、比較的多くのエビデンス(科学的根拠)が蓄積されています。ミノキシジルは、もともと高血圧の治療薬として開発されましたが、副作用として多毛が見られたことから、薄毛治療薬として転用された経緯があります。その詳細な作用機序は完全には解明されていませんが、主に「頭皮の血行促進」と「毛母細胞の活性化」によって効果を発揮すると考えられています。毛根周辺の血管を拡張させて血流を増やし、髪の成長に必要な栄養素や酸素を届けやすくします。また、毛母細胞に直接働きかけてその増殖を促し、ヘアサイクルの成長期を延長させる効果も期待されます。これにより、細くなった髪を太く育てたり、新たな髪の発毛を促したりするのです。女性の場合、市販薬としてはミノキシジル濃度1%の製品が主流です(男性用は5%など高濃度のものがあります)。これは、女性の方がミノキシジルの影響を受けやすく、副作用のリスクを考慮しているためです。医師の処方であれば、患者さんの状態に応じて2%以上の濃度のものが処方される場合もあります。使用方法は、1日2回、薄毛が気になる部分の頭皮に直接塗布するのが一般的です。効果を実感するまでには、最低でも6ヶ月程度の継続使用が必要とされています。すぐに効果が出なくても、根気強く続けることが大切です。注意点としては、副作用の可能性があります。最も多いのは、塗布部位のかゆみ、赤み、かぶれ、フケといった皮膚症状です。また、使用開始初期に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることもあります。まれに、動悸やめまいなどの全身性の副作用も報告されています。妊娠中・授乳中の使用は禁忌です。ミノキシジル外用薬は、女性の薄毛治療における有力な選択肢ですが、医薬品であるため、使用前には必ず説明文書をよく読み、用法・用量を守ることが重要です。不安な場合は、薬剤師や医師に相談しましょう。

もしかしてFAGA?30代女性の薄毛

もしかしてFAGA?30代女性の薄毛

30代女性の薄毛の原因として、近年注目されているのが「FAGA(Female Androgenetic Alopecia:女性男性型脱毛症)」です。これは、男性のAGA(男性型脱毛症)と同様に、男性ホルモンの影響が関与して発症すると考えられている脱毛症です。「まだ若いのに、男性ホルモン?」と疑問に思うかもしれませんが、女性の体内でも副腎や卵巣で男性ホルモンは少量作られており、その影響を受ける可能性があるのです。FAGAのメカニズムは、男性のAGAと似ています。男性ホルモンの一種であるテストステロンが、酵素(5αリダクターゼ)によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、このDHTが毛根のアンドロゲン受容体と結合すると、髪の成長期が短縮され、髪が細く短い軟毛へと変化していきます。これが進行すると薄毛になります。男性のAGAでは生え際の後退(M字)などが特徴的ですが、女性のFAGAでは、生え際のラインは比較的保たれたまま、頭頂部の分け目を中心に髪がびまん性(全体的)に薄くなるパターンが多いとされています。「分け目が目立つようになった」「つむじ周りの地肌が透けて見える」といった症状が現れやすいのが特徴です。30代でFAGAが発症する背景には、遺伝的な素因(男性ホルモンに対する感受性の高さなど)に加え、ストレスや生活習慣の乱れによるホルモンバランスの変動が関与している可能性があります。女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下したり、男性ホルモンとのバランスが崩れたりすると、FAGAの症状が現れやすくなるのです。ピルの服用中止後や、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科系疾患が関連している場合もあります。もし、30代で頭頂部や分け目を中心に薄毛が進行していると感じる場合は、FAGAの可能性を疑ってみる必要があります。FAGAの診断や治療には専門的な知識が必要となるため、自己判断せずに皮膚科や女性薄毛専門クリニックを受診することが重要です。適切な診断のもと、ミノキシジル外用薬の使用や、場合によってはスピロノラクトンなどの内服薬(自由診療)が検討されることもあります。

AGA自体にかゆみ症状はある?

AGA自体にかゆみ症状はある?

男性型脱毛症(AGA)の主な症状は、生え際の後退や頭頂部の薄毛といった、見た目の変化です。では、AGAが進行する過程で、「かゆみ」といった自覚症状は伴うのでしょうか?結論から言うと、AGAそのものが、直接的にかゆみを引き起こすという医学的な根拠は現在のところありません。AGAのメカニズムは、男性ホルモン(DHT)が毛根に作用し、ヘアサイクルを乱して髪を細く短く(軟毛化)させることにあります。このプロセス自体が、かゆみ神経を刺激したり、炎症反応を引き起こしたりすることは、通常考えられていません。ですから、もし薄毛の進行とともに頭皮にかゆみを感じている場合、それはAGA以外の別の原因が関与している可能性が高いと考えられます。AGAの方は、たまたま他の頭皮トラブルを併発しているケースが少なくないのです。例えば、頭皮の乾燥、皮脂の過剰分泌、シャンプーのすすぎ残し、汗による蒸れ、あるいはヘアケア製品や整髪料による刺激などが、かゆみを引き起こす一般的な原因として挙げられます。また、AGAとは別に、「脂漏性皮膚炎」という頭皮の炎症性疾患を合併している場合もあります。脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い部分に起こりやすく、赤み、フケ、そして強いかゆみを伴います。この炎症が毛根に悪影響を与え、抜け毛を助長することもあります。その他、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎(かぶれ)などが原因でかゆみが生じている可能性も考えられます。したがって、「AGAだからかゆい」と短絡的に考えるのではなく、かゆみの原因を特定することが重要です。かゆみが続く場合や、赤み・フケなどの他の症状もある場合は、自己判断せずに皮膚科を受診し、正確な診断を受けるようにしましょう。