頭皮のかゆみは、単に不快なだけでなく、放置しておくと薄毛の悩みをさらに深刻化させてしまう可能性があります。なぜなら、かゆみによって引き起こされる行動や、かゆみの原因となっている頭皮環境の悪化が、髪の健やかな成長を妨げてしまうからです。まず、かゆみを感じると、無意識のうちに爪を立てて頭皮を掻いてしまいがちです。しかし、この「掻く」という行為が、頭皮にダメージを与えてしまいます。爪で掻くことで頭皮に細かい傷ができ、そこから雑菌が侵入して炎症が悪化したり、頭皮のバリア機能が低下してさらに乾燥やかゆみがひどくなったりする悪循環に陥ることがあります。頭皮に炎症が起これば、毛根にも悪影響が及び、髪の成長が妨げられたり、抜け毛が増えたりする原因となります。また、強い力で掻きむしることで、物理的に髪の毛が引き抜かれてしまうこともあります。さらに、かゆみの原因そのものが、薄毛のリスクを高めている場合も少なくありません。例えば、「脂漏性皮膚炎」によるかゆみの場合、過剰な皮脂とマラセチア菌の増殖による炎症が毛根にダメージを与え、脂漏性脱毛症を引き起こします。「乾燥」によるかゆみの場合、頭皮のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなり、健康な髪が育ちにくい環境になっています。「接触皮膚炎(かぶれ)」によるかゆみの場合、原因となっている物質(シャンプー、整髪料など)が頭皮に合わず、炎症を起こしている状態であり、これも髪には良くありません。このように、頭皮のかゆみは、それ自体が不快であるだけでなく、掻くことによるダメージと、かゆみの原因となっている頭皮環境の悪化の両面から、薄毛を助長してしまう可能性があるのです。ですから、頭皮にかゆみを感じたら、「たかがかゆみ」と軽視せず、早めに対策をとることが重要です。掻かないように意識し、原因を特定して適切なケアを行うこと。もし、かゆみが続く場合や、赤み・フケなどの他の症状もある場合は、皮膚科を受診し、専門医の診断と治療を受けるようにしましょう。かゆみを抑え、健やかな頭皮環境を取り戻すことが、薄毛の悪化を防ぐための大切な一歩です。
6月28