AGA(Androgenetic Alopecia)とは、「男性型脱毛症」の略称で、成人男性に最も多く見られる進行性の脱毛症のことです。思春期以降に発症し、徐々に薄毛が進行していくのが特徴です。髪の悩みを持つ多くの男性にとって、その原因や症状について関心が高いのではないでしょうか。AGAは、単なる老化現象とは異なり、特定のメカニズムによって引き起こされる疾患として認識されています。その主な原因は、「遺伝的要因」と「男性ホルモンの影響」です。具体的には、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、特定の酵素(5αリダクターゼ)によって、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、このDHTが毛根(毛包)にある受容体と結合することで、髪の成長が妨げられてしまうのです。AGAの症状の現れ方には特徴的なパターンがあります。額の生え際が後退していく「M字型」や、頭頂部(つむじ周辺)が薄くなる「O字型」、あるいはその両方が同時に進行するパターンが多く見られます。これは、前頭部や頭頂部の毛根が、DHTの影響を特に受けやすいためです。一方で、側頭部や後頭部の髪は比較的影響を受けにくいため、これらの部分は薄毛になりにくい傾向があります。AGAは進行性であり、放置すると薄毛は徐々に広がっていきます。自然に治癒することは期待できません。しかし、現在ではAGAのメカニズムに基づいた有効な治療法(内服薬や外用薬など)が開発されており、早期に治療を開始すれば、進行を抑制したり、改善したりすることが可能です。まずは、AGAがどのような脱毛症なのか、その基本的な特徴を理解することが、悩みと向き合う第一歩となります。
12月22