かつて美容や育毛の世界では「夜の22時から深夜2時までの間は肌と髪のゴールデンタイムだから、この時間に寝ていなければならない」という説が常識のように語られてきましたが、最新の睡眠医学において、この固定された時間帯説はすでに否定されつつあります。では、何時に寝てもいいのかというと、そう単純な話ではありません。重要なのは「何時に寝るか」ではなく、「入眠直後の90分間にどれだけ深く眠れるか」という点にあります。成長ホルモンは、眠りについてから最初に訪れる最も深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の時に、全体の分泌量の約70パーセントから80パーセントがまとめて放出されるという特性を持っています。つまり、たとえ22時に布団に入ったとしても、スマホを見続けて脳が覚醒していたり、寝つきが悪くて浅い眠りを繰り返していたりすれば、成長ホルモンは十分に分泌されず、髪への育毛効果は期待できません。逆に、仕事の都合で就寝が深夜1時や2時になってしまったとしても、リラックスした状態でスッと深い眠りに入り、最初の90分をぐっすりと眠ることができれば、成長ホルモンはしっかりと分泌され、髪の成長は守られるのです。ただし、だからといって朝夜逆転の生活でも良いわけではありません。人間の体には概日リズム(サーカディアンリズム)があり、朝の光を浴びてセロトニンを作り、夜にメラトニンを分泌するというサイクルが乱れると、睡眠の質そのものが低下してしまうからです。結論として、髪のために意識すべきは、時計の針を気にしすぎてストレスを溜めることではなく、自分が眠りにつくその瞬間の質を高めることであり、お風呂に入って深部体温を上げたり、寝室の環境を整えたりして、「最強の最初の90分」を確保することこそが、現代版の正しいゴールデンタイム活用術なのです。
22時から2時のゴールデンタイム神話の真実と誤解