平日は仕事が忙しくて3、4時間しか眠れないけれど、その分週末に10時間以上寝て「寝だめ」をしているから大丈夫、と考えている人は、残念ながら薄毛のリスクから逃れることはできません。睡眠医学において、睡眠不足という「睡眠負債」を休日にまとめて返済することはある程度可能ですが、将来のために睡眠を貯金する「寝だめ」は不可能だとされています。髪の成長にとって重要なのは、毎日コンスタントに成長ホルモンが分泌され、細胞分裂と修復のプロセスが繰り返されることです。平日5日間の睡眠不足によって成長ホルモンが出ない状態が続けば、その期間中に髪は確実にダメージを受け、成長がストップし、抜け毛の準備が進んでしまいます。週末に一度だけ長時間眠ってホルモンを出したところで、平日5日分のダメージを一気にチャラにして、失われた成長を取り戻すことはできないのです。むしろ、休日に昼過ぎまで寝ていると、体内時計が大きく狂ってしまい、日曜の夜に眠れなくなり、月曜の朝から辛い状態でスタートするという「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」を引き起こします。これにより自律神経がさらに乱れ、ホルモンバランスが崩れるという悪循環に陥ります。髪を育てるのは植物に水をやるのと同じで、週末に一度だけ大量の水をやるよりも、毎日適量の水を与え続ける方が遥かに効果的です。もし平日の睡眠時間が確保できないなら、せめて昼休みに15分から20分の仮眠(パワーナップ)をとって脳の疲労を回復させたり、帰宅後のダラダラ時間を削って30分でも早く布団に入ったりする工夫が必要です。髪は毎日の積み重ねでしか作られないことを肝に銘じてください。