フィンペシアとプロペシア、どちらも有効成分は「フィナステリド」です。では、AGAに対する効果も全く同じと考えて良いのでしょうか。理論上は、有効成分が同じであれば、同様の効果が期待されるはずです。どちらも5αリダクターゼ(Ⅱ型)を阻害し、DHTの生成を抑制することで、抜け毛を減らし、AGAの進行を抑えるという作用機序は共通しています。しかし、いくつかの点で「効果が同じとは言い切れない」可能性も考慮する必要があります。まず、「有効成分の含有量や品質のばらつき」のリスクです。プロペシアや国内で承認されているジェネリック医薬品は、国の厳しい基準に基づいて製造され、品質管理が行われています。有効成分の含有量も正確にコントロールされています。一方、フィンペシアのような海外の未承認薬、特に個人輸入で入手する製品の場合、その品質管理体制は必ずしも日本の基準と同等とは限りません。製造ロットによって有効成分の含有量にばらつきがあったり、品質が安定していなかったりする可能性も否定できません。もし有効成分量が少なければ、期待される効果は得られませんし、逆に多すぎれば副作用のリスクが高まります。さらに深刻なのは、「偽造品」の存在です。有効成分が全く含まれていない、あるいは別の安価な成分にすり替えられている偽造品も流通している可能性があります。その場合、当然ながらAGAに対する効果は全く期待できません。「添加物の違い」も、わずかながら効果に影響する可能性はゼロではありません。錠剤を形成するための添加物が異なると、体内での溶け方や吸収のされ方が微妙に変わり、有効成分の血中濃度に影響を与える可能性も考えられます(ただし、通常ジェネリック医薬品は生物学的同等性試験で同等性が確認されています)。これらの点を考慮すると、フィンペシアがプロペシアと「全く同じ効果」を発揮するという保証はない、と考えるのが妥当でしょう。価格の安さに惹かれる気持ちも理解できますが、治療効果の確実性や安全性を重視するのであれば、やはり国内で承認され、医師の管理下で処方されるプロペシアやそのジェネリック医薬品を選択することが推奨されます。
効果は同じ?フィンペシアとプロペシア