後頭部の薄毛、その意外な原因とは
薄毛の悩みというと、多くの人が、額の生え際が後退するM字型や、頭頂部が薄くなるO字型の、いわゆる男性型脱毛症(AGA)を思い浮かべるでしょう。しかし、意外と多くの人が悩んでいるのが、自分では見えにくく、しかし他人からは目につきやすい「後頭部」の薄毛です。後頭部は、AGAの影響を最も受けにくい場所とされているため、「なぜ、ここが薄くなるのだろう?」と、その原因が分からず、不安に感じている方も少なくありません。後頭部の薄毛は、AGAとは異なる、様々な原因によって引き起こされる可能性があります。その原因を正しく理解することが、適切な対策への第一歩となります。まず、最も一般的な原因の一つが、「脂漏性脱毛症」です。これは、頭皮の皮脂が過剰に分泌され、その皮脂を餌とするマセラチア菌などの常在菌が異常繁殖し、頭皮に炎症(脂漏性皮膚炎)を引き起こすことで、抜け毛が増える症状です。後頭部から首筋にかけては、皮脂腺が多く、蒸れやすい場所であるため、この症状が現れやすいのです。次に、「牽引性脱毛症」も、特に女性に多く見られる原因です。ポニーテールや、きつく結ぶお団子ヘアなど、毎日同じ髪型で、髪を強く引っ張り続けることで、毛根に負担がかかり、後頭部や生え際の髪が抜けてしまうのです。また、意外な盲点となるのが、睡眠中の「枕との摩擦」です。寝返りを打つたびに、後頭部が枕と擦れ合うことで、髪のキューティクルが傷つき、切れ毛や抜け毛の原因となることがあります。さらに、これらの物理的な原因だけでなく、円形脱毛症が後頭部に発症したり、あるいは、甲状腺機能の低下といった、内科的な疾患が、髪全体のボリュームダウンの一環として、後頭部の薄毛を引き起こしている可能性も、ゼロではありません。